ヘッジファンドの仕掛けとテクニカル分析〜/ストキャスティクスによる分析手法...

マクロファンドには注意

ヘッジファンドの中でも為替相場への影響力から注目を集めているのがマクロファンドです。

 

マクロファンドは、非常に高度なファンダメンタルズ分析をしているような印象も受けますが、実際には、「人為的な仕掛け」が得意なだけのところもあります。

 

よって、チャート分析で、誰もが節目と思うようなポイントでは、マクロファンドのワナに引きずり込まれないよう注意が必要です。

 

◆マクロファンドとはどのようなファンドですか?
マクロファンドというのは、ファンドマネジャーが経済情勢をウォッチしながら、どのようなポジションを取れば最も高いリターンが得られるのかを判断し、実際に投資行動に移すという手法をとっているファンドのことです。

 

ジョージ・ソロスが率いるソロス・ファンド・マネジメントなどは、このマクロファンドの代表的なものです。

 

なお、ヘッジファンドも運用資金を銀行に預託し、それを保証金(マージン)として為替のトレードをしていますが、わかりやすく言えば、外国為替証拠金取引(FX)の巨大版といえます。

マクロファンドはどのような手法で運用しているのですか?

マクロファンドなどと聞くと、極めて高度なファンダメンタルズ分析を駆使して高尚なトレードを行っているようなイメージがあります。

 

確かにそういったファンドもあるのですが、実際には、各銀行に売り買いのオーダーを聞きまくって、そこを狙って短期的に仕掛けるだけのマクロファンドもかなりあるようです。

 

具体的には、各銀行にある損切り注文を狙って仕掛けをしてきて、大きく動いた相場に他の大勢の投資家がついてきたところで利食うといったようなやり方です。

 

よって、こうした動向には注意が必要になります。

 

◆マクロファンドのレバレッジは?
保証金というのは担保のようなものですが、これを元手に銀行から資金を借り入れ、投資元本以上にレバレッジを効かせて、大きな取引を行っています。

 

かつては、レバレッジ比率(保証金に対して取引可能な金額の比率)が非常に大きかったので、マクロファンドは巨大なポジションを持っていることが多くありました。

 

しかしながら、1998年のロシア危機のときに、LTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)という大きなヘッジファンドが破綻し、金融市場に大きな影響を与えたことから、銀行側も過度に高いレバレッジに対しては慎重な姿勢を見せるようになり、レバレッジ比率が引下げられたという経緯があります。

 

そうした結果、最近では、巨額な金額でマーケットを動かすという状況ではなくなってきているようです。とはいえ、それでも依然として、実際には大きな金額で取引しています。

 

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ヘッジファンドの仕掛けとはどのようなものですか?

一般的に、チャートポイントの切れたところに損切り注文が集中する傾向がありますが、ヘッジファンドの仕掛けというのは、ここを狙ってきます。

 

例えば、チャート分析において、この水準を切ったら下がるといわれるサポートラインがあるとします。このようなケースでは、しばしばそのポイントの下には損切りの注文が並ぶことになります。

 

そのような場面で、ヘッジファンドは、まずそのポイントに相場を誘導させるために、徐々に売り注文を入れていきます。

 

そうすると、市場内には徐々に上値が重いという雰囲気が出てきます。

 

そして、問題のポイント近くまでくると、もう一押しさせるためにいずれかの銀行を使って、さらに売り注文を入れるのです。

 

これにより、相場はサポートラインを切って下落し、大量の損切り注文が執行されます。

 

その後は多くのトレーダーが、チャートポイントが切れたことから、その流れに追随して売り注文を入れてきます。

 

ヘッジファンドはこの瞬間を狙って、今度は別の銀行から一気に買い上げるのです。

 

そうすると、売り注文を出していた投資家が慌てて買い戻しに動き、相場は一気に反転していきます。

 

結局のところ、損切り注文が執行され、買いから入った投資家は損失が確定し、売りに追随した投資家も買い戻しに動いたため、損失が残されることになります。

 

こうしてヘッジファンドだけが一人勝ちするというわけです。なお、こういったケースは数え切れないほどありますので、チャートポイントの切れ目付近には注意が必要です。

 

◆モデルファンドとはどのようなファンドですか?
モデルファンドとは、あらかじめ構築されたシステムの売買サインなどに従って売り買いをするファンドのことをいいます。

 

モデルファンドというのも、マクロファンドと同様、ヘッジファンドン仲間です。

 

◆モデルファンドの具体的な分析手法は?
モデルファンドは、各国の経済指標などを数値化し、ファンダメンタルズの差などを数値化したうえで取引の判断材料にしているケースもあるようですが、通常はテクニカル分析を用いて、売買サインを出させるケースが一般的です。

 

また、分析手法の種類というのは、そのシステムを開発する担当者によって異なりますから、無数にあるといえます。

 

しかしながら、自分が開発したお金が儲かるシステムを、そう簡単に他人に見せるとも考えられませんので、世の中にどのようなシステムに基づいて売買しているファンドがあるのかどうかについてまではよくわかりません。

 

ただし、モデルファンドがいつ買って、いつ売るかについての情報はありますから、そこからおよそ2つのパターン、すなわち順張り系と逆張り系に分かれると考えられます。

 

◆テクニカル分析とサポートライン
テクニカル分析を勉強したとおりに、サーポートラインを抜けるかどうかを参考にして売買を行った結果、損失を被ってしまったという投資家も多いのではないでしょうか。

 

テクニカル分析的にいえば、この手の動きは「ダマシ」と定義しますが、最近は、こういったダマシの動きが非常に増えています。

 

これは、ヘッジファンドがこのような仕掛けをつくっているからで、当然といえば当然なのかもしれません。

 

よって、サポートラインを抜けたらポジションを取るという手法を用いるのは慎重にありたいところです。

 

FX取引では、こうしたダマシにあって損失を出さないよう、十分な注意が必要になります。

モデルファンドの順張り系のシステムとは?

モデルファンドのトレンドフォロー型(順張り型)と呼ばれるシステムは、相場の大きな流れに追随していく投資法です。

 

具体的には、相場のブレイクポイントをシステムが判断して、そのポイントを抜けると買いに回ったり、売りに回ったりします。

 

また、相場の強さを何らかの方法で指数化し、その数値のレベルで相場の強弱感を判断して売り買いを行うという手法もあります。

 

あるいは、最初に買いサインが出たときに買い、次の買いサインが出たらさらに買い、その後もサインが出るたびに、どんどんポジションを積み増ししていくというモデルもあります。

 

基本は、トレードの流れに乗ることですから、こうしたタイプがモデルファンドの大半を占めるものと思われます。

 

◆モデルファンドの逆張り系のシステムとは?
モデルファンドの逆張り型のシステムは、要するに相場の買われ過ぎ、あるいは売られ過ぎを狙って、反対のポジションを取る投資手法です。

 

このタイプは、オシレーター系と呼ばれるテクニカル分析を使用して相場動向を分析するケースが多いです。

 

ちなみに、オシレーター系の代表的なテクニカル分析としては、RSIやストキャスティクスなどがあります。

 

◆モデルファンドのシステムとはどのようなものですか?
モデルファンドのシステムは、前述したような順張り方と逆張り型の2つのタイプが基本になりますが、実際には、いくつかの分析手法を組み合わせることによって、売り買いのサインを出させているようです。

 

具体的には、相場の大きな流れを掴んでいくトレンドフォロー型の中には、オシレーター系の分析と組み合わせて、ポジションを閉じるタイミングを決めているファンドもあります。

 

こうしたモデルの中身は、MIT※のような理数系大学を卒業した人たちが、分析に分析を重ねてつくりあげていますので、そのロジックを正確に理解するのは難しいです。

 

しかしながら、モデルファンドがどういったタイミングで売り買いをしているのかをウォッチしていれば、投資行動のパターンというのは何となくはわかるようです。

 

※マサチューセッツ工科大学

 

◆システムの使い分け
実際、モデルファンドが用いている運用システムというのは、次の2つのタイプに分かれるようです。

 

■長期的な相場の流れに向いているタイプ
■短期売買に向いているタイプ

 

なお、これらのシステムを相場状況に応じて使い分けているようです。

 

ちなみに、長期ポジションにはトレンドフォロー型が有効ですが、短期売買になればなるほど逆張り型が力を発揮しますので、モデルファンドで運用しているシステムもこうした使い分けをしていると考えられます。

ストキャスティクスによる分析手法とは?

ストキャスティクスというのは、価格の変化率から、相場の買われ過ぎや売られ過ぎを見るテクニカル分析です。

 

また、RSIやボリンジャーバンドと同様に、オシレーター系指標と呼ばれており、分析手法もRSIとよく似ています。

 

◆ストキャスティクスの特徴は?
ストキャスティクスの最大の特徴は、「%K」(Kライン)と「%D」(Dライン)という2つのラインがあることです。

 

ストキャスティクスを分析する際には、この2つのラインの相関関係から売買ポイントを読み取ります。

 

◆「%K」(Kライン)と「%D」(Dライン)
「%K」というのは、過去5日間の終値のうち、直近の終値が相対的にどの水準にあるのかを表しています。

 

また、「%D」は、「%K」の数値を3日間で修正したもので、Dラインの方が滑らかな線になり、Kラインよりも遅行します。

 

◆KラインとDラインではどちらが重要?
分析では、Dラインが重要になります。具体的には、Dラインが70%以上になれば買われ過ぎとなります。特に85%以上になったら、売りを仕掛けるポイントになります。

 

同じように、Dラインが30%以下になれば売られ過ぎと判断され、15%以下になったら買いを仕掛けるのが有効とされています。

 

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ストキャスティクスにおけるトレンド転換点は?

ストキャスティクスを活用して、トレンドの転換点を計ることも可能です。

 

具体的には、%Kと%Dがともに、85%以上あるいは15%以下の位置にあって、ラインが交差する場合には、トレンド転換のサインになります。

 

さらに、ラインの交差が3回目になると、ストキャスティクスのトレンド転換サインとしてより信頼度が高いとされています。

 

なので、これが出現した時には、積極的に逆張りにすべきであるといわれています。

 

◆ストキャスティクスによる強気・弱気のサインは?
%Dが70%以上で右下がりのダブルトップになった場合は弱気のサイン、30%以下で右上がりのダブルボトムになった場合には強気のサインとされています。

 

◆ストキャスティクスはどのようなチャートですか?
ストキャスティクスというのは、相場の過熱感(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を表すオシレーター系のチャートです。

 

このストキャスティクスでは、当日の終値がある一定期間の最安値からみて、どの程度の位置にあるかを求めることによって判断されます。

ストキャスティクスの3つの指標

ストキャスティクスには、次の3つの指標があります。

 

■%K
・ストキャスティクスで、相場の過熱感(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を判断するために用いる数値の1つです。
・%Kは値動きに反応しやすいため、相場分析には%Dと併用されることが多いです。

 

■%D
・ストキャスティクスで、相場の過熱感(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を判断するために用いる数値の1つです。
・%Kよりは緩やかな曲線を描きますが、単独で相場分析に利用するには不安定なので、%K、SLOW%Dとの関連で利用することが多いです。

 

■SLOW%D
・ストキャスティクスで、相場の過熱感(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を判断するために用いる数値の1つです。
・ストキャスティクスで用いる数値の中では最も緩やかな曲線を描き、値動きに対する反応も緩やかです。

 

◆どのように判断したらよいですか?
ストキャスティクスでは、次のように判断します。

 

■%Kが%Dを下から上抜くと「買い」
■%Kが%Dを上から下抜くと「売り」
■%DがSLOW%Dを下から上抜くと「買い」
■%DがSLOW%Dを上から下抜くと「売り」

 

なお、ストキャスティクスは、単独ではなく、「%Kと%D」あるいは「%DとSLOW%D」というように、2種類を組み合わせて売買の判断に使います。

どのように判断するのですか?

ストキャスティクスでは、%K、%D、SLOW%Dのいずれか、あるいはすべてが30%以下の場合は売られ過ぎ、70%以上の場合は買われ過ぎとみなされます。

 

また、相場が急激に動いた場合には、これらの数値も大きく動くため、より分析の精度を高めるには20%、80%を目安とする見方もあります。

 

さらに、ストキャスティクスからは、次のような判断もできます。

 

■各指標が極端に上昇した場合は「買い」
■各指標が極端に下落した場合は「売り」
■%Kが%Dを下から上に付きぬけた場合は「買い」
■%DがSLOW%Dを下から上に突き抜けた場合は「買い」
■%Kが%Dを上から下に突き抜けた場合は「売り」
■%DがSLOW%Dを上から下に突き抜けた場合は「売り」

 

◆ストキャスティクスの計算方法は?
次のように計算されます。

 

%K={(A−B)/(C−B)}×100
%D={(A−B)の3日間の合計/(C−B)の3日間の合計}×100
SLOW%D=%Dの3日間の移動平均

 

■A=当日の終値
■B=過去n日間の最安値
■C=過去n日間の最高値
※nには、5日間が比較的よく使用されます。

 

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