株価と金利、為替との関係〜/外為ディーラーはテクニカル分析は使わない...

有事のドル買いは米ドル売りになることも?

アメリカは世界最強の軍事力をもち、米ドルは世界の基軸通貨※であることから、大規模な戦争などが起きた場合には、「有事のドル買い」といって、世界中の投資資金が米ドルの「逃避買い」に走るケースが多いといわれます。

 

しかしながら、この「有事のドル買い」も絶対ではありません。

 

例えば、イラク戦争の場合は、勃発した直後こそ米ドルが買われましたが、その後、泥沼化の不安が広がると、むしろ米ドルのリスクが意識されるようになり、米ドルは下げに転じました。

巻き戻しに注意

テロや戦争、自然災害などの偶発的な要因は、それが起こったときには為替市場に驚きが広がりますので、上下一方に激しく動きますが、それが一服すると反対方向に同じくらい激しく巻き戻すこともあります。

 

こういったケースでは、あわてて飛びつくのではなく、冷静に事態の推移を見つめることが重要です。

 

◆分散投資とは?
分散投資というのは、投資を行う場合に、リスクを分散するために複数の手段(銘柄)に資産を分けて投資することをいいます。

 

◆互いに深く影響し合う関係にある
外国為替は株式と互いに深く影響し合う関係にありますが、このように、異なる種類の金融商品であっても、裏では深く結びついているということが多くあります。

 

株価というのは、基本的には企業の業績を反映して変動します。

 

その国の経済環境が良ければ利益が拡大しやすくなりますので、経済全体が活況であれば株価は上昇しやすくなります。

 

また同時に、好景気であればその国の通貨も買われますので、株価が上昇しているときには通貨の価値も上がるというのが、基本的な株価と為替の関係になります。

 

つまり、日本の株価が全般的に上昇していれば円高に、株価が下落していれば円安に振れることになります。

 

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株高は円買い、株安は円売りにも

しかしながら、景気が良くて株価が上昇傾向にあれば、海外の投資家は日本株を買うために円を買いますので、それが円を強くする要因となり、株高は円買いに、反対に株安は円売りを呼ぶ原因にもなります。

 

為替と株は、教科書的にはこのような関係にあるのですが、実際にはこのようにはいかないケースも多いです。

 

◆円安のもとで日本の株価が上昇するとは?
例えば、円が強くなりすぎますと、輸出産業のウェートが高い日本企業にとっては、収益を圧迫する要因となり、むしろ株価を下げてしまう原因にもなります。

 

また、2007年までは、円安が日本をはじめ海外の株価を上昇させる要因となっている側面がありました。これは、円キャリートレードがその要因であるといわれています。

 

低金利の円で資金を調達して、米ドルで運用すれば高い利回りを得られますが、その際には「円を売り・ドルを買う」という動きが強まりますので円が強くなるというのが、円キャリートレードになります。

 

このように円で調達した資金を、世界中で運用することによって、海外の投資家が大きな利益を生み出し、その資金の一部が日本株にも投資されて、日本の株価を引き上げる効果をもたらしたのです。

 

つまり、このときには、円安のもとで日本の株価が上昇するという、教科書とは反対の関係になったのです。

 

特にここ数年は、日本の株式市場では海外の投資家の影響度がますます強くなっていますので、株高が円安に、あるいは株安が円高へと結びつきやすい状況が続いています。

 

◆株価と為替、金利と為替の関係は固定的ではない
外国為替を含めた世界の金融市場の環境というのは、どんどん変化しています。

 

よって、株価と為替、金利と為替などの関係についても、決して固定したものではなく、その時々の状況によって変化していくものであると考えておいたほうがよいと思われます。

東京外為ディーラーはどのような1日を過ごすのですか?

東京にいる外為ディーラーは、次のような1日を送るそうです。

 

■起床
・起床は早朝の5〜6時頃で、海外のビジネス番組やブルームバーグTVなどで昨晩のロンドン・ニューヨーク市場の動向をまずはチェックするようです。

 

■通勤
・朝食は簡単にすませ、まだ人の少ない6〜7時頃の通勤電車に乗り、日経新聞やフィナンシャルタイムス、ウォールストリートジャーナルなどを読みながら、東京丸の内、赤坂、溜池山王、六本木などへと向かいます※。

 

※外為ディーラーの所属するディーリング・ルームというのは、どこの日系銀行も本店にあり、それらは丸の内に集中しています。一方、外資系銀行の日本支社は赤坂、溜池山王、六本木当辺りに集中しています。

 

■会社へ到着
・会社に到着するのが7時〜7時30分、パソコンのブルームバーグやロイターの画面で、今朝の市場動向をチェックします。

 

・コーヒーなどを飲みながら、ニューヨーク支店の同僚と昨晩の市場動向を話したり、東京オフィスの同僚と意見交換をしたりするようです。

 

■8時頃
・銀行により分け方は異なりますが、スポット、フォワード、通貨オプション、インターバンク・ディーラー、カスタマーディーラーなど、それぞれ朝会を行います。

 

・昨晩のロンドンやニューヨーク市場の動向についてまとめたものが発表され、その日発表予定の経済指標の確認や市場動向についての予測などが述べられます。

 

◆東京外為ディーラーはどのような午後を過ごすのですか?
■8時〜9時55分
・8時を過ぎますと、事業法人など顧客からの売買注文がパラパラと舞い込みますので、ここから仕事開始となります。東京時間の外国為替市場関係者にとっては、8時頃〜9時55分の仲値公表時刻までが最も慌しい時間帯となるようです。

 

・これは、ロンドンやニューヨーク市場とは違って、東京外為市場は実需(顧客取引)の割合が高く、当日顧客からのドル買いが多い場合にはドル高/円安、ドル売りが多い場合にはドル安/円高に触れやすくなり、仲値もその影響を受けるからです。

 

■お昼ごろ〜夕方16時頃
・仲値公表時刻を過ぎ、お昼休みに近づくにつれて徐々に相場も落ち着き始めます。

 

・お昼休みが過ぎますと、夕方16時頃ロンドン市場がオープンするまでにもうひと相場あることもありますが、多くは比較的穏やかな時間を過ごすことが多いようです。

 

■16時頃〜
・夕方、ロンドン市場の午前中にあたる相場を確認した後、ロンドン支社にいる同僚とコンタクトを取り、自分のポジションを預け(ブックパス)、もしもの場合にはロンドンの同僚に売買してもらうか、連絡をもらうように依頼しておくそうです。

 

・アメリカの経済指標が発表される日などは遅くまで残ることもあるようですが、外資系銀行のディーラーなどは定時で帰宅するそうで、日系銀行のディーラーでも19時とか20時とかで帰宅するそうです。

 

■帰宅後〜就寝
・帰宅後は、普通のサラリーマンと同じように過ごしますが、やはり為替相場のチェックは時折するそうです。そして、就寝前にも市場動向を確認して、外為ディーラーの1日が終わります。

ファンダメンタルズを中心に相場観を構築

株式や債券ですと、将来にわたるキャッシュ・フローを現在価値に直して適正価格を求めるというロジックが確立されていますが、外国為替にはそのようなキャッシュ・フローや適正価格というものがそもそも存在していません。

 

なので、実需以外の外為取引が禁止されていた頃は、貿易取引や資本取引が為替レートの動向に顕著に反映されることもあったようです。

 

しかしながら、実需原則が撤廃されてからは、そのような実需面から市場動向を把握するには限界がありますし、現在では貿易取引や資本取引に計上されないオフバランスの外為取引のほうが極めて多い状況ですから、為替が実需とはまったく違う方向に動くということもよくあることです。

 

とはいえ、外為ディーラーは、ファンダメンタルズ(経済諸条件)を中心に相場観を構築するという点では共通しているようです。

 

◆外為ディーラーはテクニカル分析は使わない?
相場の分析手法には、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析がありますが、外為ディーラーの場合、テクニカル分析のみに頼って投資判断をしている人というのはあまりいないようです。

 

とはいえ、ファンダメンタルズ分析には非常に多くの情報収集が必要になります。

 

ディーラーによって注目している要素が異なったり、市場参加者が注目する要素がころころ変わったりしますので、何をもってファンダメンタルズ分析というのかというのは必ずしも明確ではありません。

 

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FXではどのような情報収集が必要になりますか?

テクニカル分析というのは、価格推移の特徴だけを把握すればよいですが、ファンダメンタルズを把握しようとすると、次のようなものなど非常に多くの情報収集が必要になります。

 

■経済指標
■各国経済政策 ⇒ 金融政策、財政政策
■要人発言 ⇒ 大統領、首相、中央銀行総裁、財務官...など
■市場参加者動向 ⇒ マーケット・メーカー、ヘッジファンド、その他機関投資家、個人投資家...など
■市場介入
■他市場 ⇒ 株式、債券、商品先物、短期金融市場
■デリバティブ市場動向 ⇒ 先物、フォワード、通貨オプション...など
■各国政治 ⇒ 戦争やテロなどを含みます。
■市場参加者心理動向

 

◆政府要人とは?
政府要人というのは、政治家や政府役人をはじめ、中央銀行総裁なども含めた重要人物のことをいいます。

 

なお、要人の発言内容によっては、為替相場に大きな影響を与えることがあります。

 

◆イスラム金融とは?
イスラム金融というのは、長期化する原油高を背景に注目されるようになった、シャリア(イスラム法)に則った金融取引のことをいいます。

 

具体的には、イスラム教で禁止されている次のようなものに関連する事業は排除されます。

 

■豚肉 ■アルコール ■ギャンブル ■ポルノ
■武器製造・販売...など

デマーク(Demark)とはどのようなテクニカル分析ですか?

デマーク(Demark)指標は、テクニカル分析で有名なジャック・シュワッガーが「魔術師の中の魔術師」と賞賛したトーマス・R・デマーク氏が開発したものです。

 

このデマーク(Demark)指標は、誰が利用しても同じ結論に達するという非常に珍しいテクニカル分析です。

 

◆デマーク(Demark)指標にはどのような特徴がありますか?
一般的によく知られているテクニカル分析というのは、次のような特徴があります。

 

■利用者によって条件設定を変更できるものが多いため、主観に頼る要素が多くある。
■銘柄により条件を変更したり、価格推移の形状を視覚的に捉えたりと、非常にアナログで一貫性に欠ける。

 

これに対して、デマーク(Demark)指標は、上記とは相反する、次のような特徴をもったテクニカル分析です。

 

■客観性
■機械性
■一貫性

ボリンジャーバンドとは?

ボリンジャーバンドというのは、統計学を応用したテクニカルチャートで、移動平均線の上下にバンド=標準偏差の線を引き、各線にかかる価格の分布状況から為替相場の反転を測るものをいいます。

 

◆実線とは?
実線というのは、ローソク足の連なりのことをいいますが、「終値」ということもあります。

 

◆スキャルピングとは?
スキャルピングというのは、利幅や損切りの値幅を小さくして、短時間で何回も取引して、小さな利益をコツコツ積み上げていく短期投資のことをいいます。

 

ちなみに、スキャルピングの場合は、一般のデイトレードよりは取引回数は多くなります。

投資家の心理から探る行動ファイナンスについて

FX取引では、エントリー(入口)とイグジット(出口)のうち、「どこで買って(or 売って)ポジションを持つか」というエントリーには細心の注意を払うものの、「どこで売って(or 買って)ポジションをクローズし、利益(or 損失)を確定するか」ということについては、個人投資家の意識は薄いといわれています。

 

専門家の間で流行っている投資家の心理から探る行動ファイナンス分野の研究によりますと、売買を始めていったんポジションを持つと必ず人の心理が働き、合理的な判断が鈍くなるそうです。

 

例えば、次のような選択肢があった場合には、どちらを選択するでしょうか。

 

■Q1
(1)100%確実に100万円を獲得する
(2)50%の確率で200万円を獲得する

 

■Q2
(1)100%確実に100万円を損する
(2)50%の確率で200万円を損する

 

この質問に答えた人のほとんどが、Q1では(1)をQ2では(2)を選択するそうです。ちなみに、期待リターンで考えますと、次のようになりどちらも同じになります。

 

<期待リターン>
■Q1
(1)100×100%=100万円
(2)200×50%=100万円

 

■Q2
(1)△100×100%=△100万円
(2)△200×50%=△100万円

 

◆では、なぜ同じ期待リターンなのに多くの人は同じ選択をするのですか?
それは、利益を得るときには確実に得たい、損失が出るときにはできるだけ不確実、すなわち先送りしたいという人の心理が働くからだそうです。

 

こうした心理的な影響があることから、利益が出ているときにはできるだけ確実に利益を得たいという心理が働いてしまうので、「利食い」をあせってしまい、もっと腰を据えて臨めばもっと利益を得ることができたのにと悔やむ投資家が多くなってしまうそうです。

 

逆に、損失が出たときには、できるだけ損失は確定させたくない、すなわち先送りしたい心理が働いてしまうので、「損切り」を後回しにしてしまい、もっと早く損切っていればこんなに損失を拡大させることはなかったのにと悔やむ投資家が多くなってしまうそうです。

 

◆イグジットを決めておく
上記のように、いったん売買を始めてポジションを持ってしまいますと、人は誰でも心理が働いてしまいますから、ポジションを持つ前にどれだけになったら利益・損失を確定させるのかあらかじめ目標を決めていく、つまり、イグジット(出口)をどうするのかを考えておくことが大切です。

 

なお、利益確定・損切りの中でも、特に損失を拡大させてしまい、最悪の場合資金を失ってしまうことのないように、ストップ・ロス・オーダーは常に置いておくようにしたいところです。

 

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