くりっく365とOTC取引〜/為替レートと貿易収支の関係...

相対取引と取引所取引

外国為替市場の大半の取引は、銀行対銀行の相対取引、すなわちOTC(オーバー・ザ・カウンター)取引によって行われています。

 

ちなみに、相対取引というのは、特定の取引所に集まって取引するのではなく、個々の金融機関同士が取引の相手を見つけて、個別に取引を行う方式のことをいいます。

 

しかしながら、一部には、取引所で行われる取引もあり、米国のシカゴ市場の通貨先物市場など、先物取引の形で為替取引を行う市場があります。

 

ほとんどのFX業者では、顧客からの注文に応えて、それを相対取引の外国為替市場につなぐOTCの方式を採っていますが、FXでも「くりっく365」というタイプは、取引所を通した取引となっています。

「くりっく365」とは?

この「くりっく365」というのは、東京金融取引所という、通貨や短期金利の先物取引を行っている取引所で取引されるFXのことをいいます。

 

基本的には、OTCタイプのFXと変わりませんので、24時間取引で、証拠金をもとにレバレッジをかけて、様々な通貨ペアの買い・売りができます。もちろん、スワップ金利もつきます。

 

◆OTC取引との違いは?
くりっく365は、取引所で取引が行われるという点において、OTC取引とは大きな違いがあります。その最も大きな違いが、税金面での取り扱いです。

 

くりっく365もOTC取引も実質的には同じ取引なのですが、OTCタイプのFXでは、取引による収益は総合課税となり、他の所得と合算して累進税率が適用されます。

 

これに対して「くりっく365」は、利益に対する税率が一律20%の分離課税で、株式先物や商品先物などの取引損益と通算できるほか、損失を翌年度以降に繰り越すこともできます。

 

ちなみに、OTCタイプではこのようなことはできません。

 

このように、くりっく365は、メリットの多いFXではありますが、取り扱っている証券会社やFX専門業社は、OTCタイプに比べると、まだまだ少ないのが現状のようです。

 

◆くりっく365はスワップ金利も有利?
くりっく365の特徴として、もう1つスワップ金利があります。通常のOTCタイプですと、ある通貨ペアのスワップ金利は、受け取り側のスワップが、支払い側のスワップを下回ります。

 

これに対して、くりっく365の場合は、受け取り側も支払い側も同額となっており、金利の高い通貨を売る際の不利が、若干解消されています。

 

◆くりっく365とOTCタイプとの比較
くりっく365というのは、東京金融取引所に上場している取引所為替証拠金取引のことをいいますが、OTCタイプのFX取引(非取引所取引)とは次のような点で異なります。

 

<利益への課税方法>
■くりっく365
・一律20%の分離課税
・株式先物、商品先物との損益通算が可能
・損失を3年間繰り越すことが可能
■OTCタイプのFX取引(非取引所取引)
・総合課税の対象となり、他の所得と合わせて累進税率が適用される(最高税率50%)。

 

<スワップ金利の取り扱い>
■くりっく365
・受け取りも支払いも同額
■OTCタイプのFX取引(非取引所取引)
・受け取りの方が少なく、支払いの方が多い。

 

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ヘッジ・ファンドが巨額の利益を得る

1990年代後半といえば、日本ではバブル崩壊で不況が続いていた時期ですが、この同時期に、東南アジア諸国(香港、シンガポール、タイなど)では、空前の好景気に沸いていました。

 

これらの国々では、株価や不動産が急騰し、欧米など海外からの投資資金がなだれをうって流入していたのです。

 

しかし、ここに矛盾を感じ取っていたジョージ・ソロスなどのヘッジ・ファンドは、1997年になると、まず、タイの通貨であるバーツに売りを仕掛け、切り下げに追い込んでいきました。

 

このヘッジ・ファンドの「アタック」の対象になったのは、マレーシア・ドル、インドネシア・ルピアなどで、これがほとんどのアジア通貨に広がり、いずれも急落しました。

 

こうした混乱により、ヘッジ・ファンドは巨額の利益を得ました。

 

◆ロシア危機によりヘッジ・ファンドが巨額の損失を出す
翌年1998年になると、アジアからはじまった通貨危機は、ブラジルやメキシコ、ロシアなど、その他の地域にも影響を与え始めたことから様相が一変します。

 

特に、深刻な財政危機に陥っていたロシアは、この影響で国債の元利払を停止せざるを得なくなり、これに投資していた欧米の投資家は莫大な被害を受けました。

 

当然、ヘッジ・ファンドもこれに巻き込まれ、巨額の損失を出したのです。

 

さらにロシア危機は、アメリカ国内の債券市場にも影響を及ぼしたことから、それが原因となり、1998年9月、有力ヘッジファンドのLTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)が破綻しました。

 

為替市場もその影響から大混乱に陥り、当時135円前後であった米ドル/円は、わずか3日で20円以上もの大暴落となり、有力ヘッジ・ファンドの破綻も相次ぎました。

 

◆OTCとは?
OTC(Over the Counter)というのは、「相対取引」ともいい、株式相場のような取引所を仲介せずに、売り手と買い手が1対1の関係で通貨を取引することをいいます。

唯一の要因はない

為替レートというのは、様々な要因を受けて変動します。しかも、変動する要因には、時代や状況によって変化していくものもあります。

 

なので、「これが為替レートの唯一の変動要因である」といいきれるものはないといってよいと思います。

 

しかしながら、その中でも、貿易収支、金利、戦争や政変などは、為替レートを大きく動かす要因として、特に市場の関心のマトとなっています。

 

◆為替レートと貿易収支の関係について
貿易収支というのは、ある国が海外とモノの貿易を行った結果の収支であり、輸出額から輸入額を差し引くことによって算出します。

 

そして、輸出額が輸入額を上回っていれば貿易黒字となり、輸出によって得られた外貨の額が、輸入の際に支払った外貨の額を上回ります。

 

つまり、次のような流れから為替レートの変動要因となります。

 

<貿易収支=輸出額−輸入額>
■黒字の場合 ⇒ 外貨の量が増える → 自国通貨が高くなり、外貨は安くなります。
■赤字の場合 ⇒ 外貨の量が減る → 自国通貨が安くなり、外貨が高くなります。

 

◆世界の三大通貨とは?
現在の世界の三大通貨は、米ドル・ユーロ・円ですが、これには地理的な面も関係しています。

 

というのは、為替市場は24時間休むことがありませんが、北米・欧州・アジアの各地域に主要通貨があることによって、為替取引の時間帯という面からみてもバランスが取れているからです。

貿易収支と為替レートはどのような関係にありますか?

貿易収支というのは、ある国が海外とモノの貿易を行った結果の収支であり、輸出額から輸入額を差し引くことによって算出します。

 

そして、輸出額が輸入額を上回っていれば貿易黒字となり、輸出によって得られた外貨の額が、輸入の際に支払った外貨の額を上回ります。

 

つまり、これは、国内で外貨の量が増えるということです。

 

しかしながら、社員に給料を支払ったりするためには、外貨では役に立ちませんので、外貨を自国通貨に交換する必要がでてきます。

 

それにより、「外貨売り・自国通貨買い」の取引が増加し、その結果、自国通貨が高くなり、外貨が安くなるという圧力が働くことになります。

 

また、輸入が輸出を上回る貿易赤字の場合は、黒字のときとは正反対になり、国内の外貨が減ってくるので、外貨が高くなり、自国通貨が安くなるという動きになります。

 

◆貿易収支は為替レートを動かす要因?
しかしながら、自国通貨が高く、外貨が安くなると、輸出代金が目減りするほか、競争力も低下しますので、やがては売れ行きが落ちていき、貿易収支の黒字は減少していくことになります。

 

逆に、外貨高・自国通貨安が行き過ぎると、海外におけるモノの値段の競争力が回復して、貿易赤字の削減へと向かい、外貨安・自国通貨高の方向に力が働いていくようになります。

 

このように、貿易収支は為替レートを動かすとともに、為替レートが貿易収支を変動させる要因としても働きます。

 

◆現在は貿易収支だけでは不十分?
貿易収支は、かつては為替レートの変動を説明する最も大きな要因とされてきました。

 

しかしながら、貿易収支というのは、あくまでもモノの動きだけで説明するものであることから、国際間のお金の動きが自由になった現在では、これだけで為替レートの変動を読むことは困難になっています。

 

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金利が為替レートを動かす?

ここ数年、各国の金利が、為替レートが変動する最も大きな要因として注目されています。

 

外貨預金やFXの人気の高まりを見てもおわかりのように、日本のように国内が超低金利の状態にあると、海外の国々との金利差が開くことから、海外の高い金利を求めて外貨建て商品を購入するようになり、外貨を買う動きにつながります。

 

つまり、これは金利が為替レートを動かしているということです。

 

◆金利が為替レートを動かす条件とは?
金利が為替レートを動かすためには、国際間の資金の動きが自由になっていなければならないという条件が必要になります。

 

もし、資金移動の自由が制限されるのであれば、為替レートの変動に金利は反映されません。

 

実際、資本の移動が制限されていた1980年代の前半までは、モノの取引の収支を示す貿易収支が、為替レートを変動させる最も大きな要因でした。

 

しかしながら、その後、世界的に国際間の資本移動の規制が緩和されるようになり、貿易に伴う資金のやりとりよりも、投資目的に資本移動のほうが増加していきました。

 

それにより、各国の金利差が為替レートを動かす要因として、貿易収支をしのくようになったのです。

 

◆ファンダメンタルズ分析とは?
ファンダメンタルズとは、経済の基礎的条件という意味であり、ファンダメンタルズ分析といった場合には、その国の経済や財政状況を分析する方法のことをいいます。

為替レートに影響を与える金利とは?

金利といっても、様々な種類があります。

 

というのは、お金の借り手が個人なのか、企業なのか、国なのかによっても違いますし、期間も1日だけの金利から10年を超える長期金利まで、千差万別だからです。

 

そうしたなかで、為替レートに最も重要な影響を与えるのは、各国の主要な短期金利になります。

 

長期金利が少しくらい動いたからといって、為替がそれに反応して激しく動くというようなことは、あまりありません。

 

しかしながら、例えばFX取引でスワップ金利を狙うような短期取引の場合には、短期金利の変動に敏感に反応して売買が行われますので、為替レートは激しく変動することもよくあります。

 

◆各金融当局の政策の姿勢を読むことが重要
短期金利は、各国の中央銀行など、金融当局がその水準を決定していることも重要になってきます。

 

というのは、景気の拡大を促進させたり、過熱気味になった景気を冷やしたりするために、金融当局はまず短期金利の水準を操作するのですが、こうした金融政策が行われると、一夜にして短期金利の水準は変わり、それがダイレクトに為替レートに影響を与えるからです。

 

なので、為替取引においては、各国の短期金利の水準とともに、各金融当局の政策の姿勢を読むことが非常に大切になるのです。

経済以外の為替レートを動かす要因は?

通貨の取引というのは、貿易などの取引に伴うものや、投資に伴うものなど、直接的には何らかの経済的な活動によって行われます。

 

なので、為替レートを動かす要因としては、経済的な側面が重視されることになるのですが、経済以外でも為替レートを動かす要因があります。

 

例えば、どこかの国で戦争が起これば、その国やその周辺国では経済活動が停滞せざるを得ないでしょうから、貿易が低調となるだけでなく、投資も減少するはずです。

 

結果として、戦争という出来事が経済活動の変化を呼び起こし、ひいては為替レートに影響を与えることになるのです。

 

これに対して、為替市場は、先行きの変化を先取りする性質がありますので、戦争が起こるとか、その危険性が明らかになれば、その時点ですぐに為替レートが激しく動きます。

 

◆為替市場と政治の関係は?
政治の問題も同じで、選挙や政変によって政権が変わると、経済政策や金融政策が変更される可能性も高まりますので、政治が間接的に為替市場に影響を及ぼすことになります。

 

安定した政権が退場して政治が不安定になれば、経済活動の減退が懸念されて、その国の通貨が売られやすくなり、経済を回復させる可能性の高い新政権ができれば通貨が買われやすくなります。

 

◆為替市場とテロや災害とはどのような関係がありますか?
戦争や政変だけでなく、テロの勃発や大規模な自然災害が為替レートを大きく動かす要因となるときもあります。

 

FX取引では、このような事件が発生したときに、どの通貨がどちらの方向に動くのかを見極めることが重要になります。

戦争当事国は通貨安?

必ずしも戦争が起これば、その国の通貨が安くなるとはいえません。例えば、1990年に湾岸戦争が起きた際には、当事国であるアメリカの米ドルは大きく上昇しました。

 

これは、戦争の短期終結を見越した投資家たちが、米ドルを買ったからです。

 

特にアメリカは世界最強の軍事力をもち、米ドルは世界の基軸通貨※であることから、大規模な戦争などが起きた場合には、「有事のドル買い」といって、世界中の投資資金が米ドルの「逃避買い」に走るケースが多いのです。

 

※輸出入の決済通貨として広く使用されている通貨のことです。

 

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