国際金融と国内金融〜/経常黒字と経常赤字〜/貿易収支とサービス収支...

国内金融とは?

国内金融というのは、日本国内におけるお金のやりとりのことをいいます。

 

また、国内金融で大きなシェアを占めるのは、インターバンク市場と呼ばれる金融機関同士のお金のやりとりになります。

 

金融機関同士のお金の決済(資金決済)は、日本銀行(日銀)の当座預金を通して行われますが、日銀はインターバンク市場で、資金決済が円滑に行われるよう常に監視しています。

 

それ以外にも、企業(個人)と金融機関、企業同士、または個人と個人のお金の受け渡しも国内金融です。

 

例えば、個人が金融機関にお金を預けることはもちろんですが、友人にお金を貸す行為というのも国内金融になります。

国際金融とは?

国際金融というのは、国内と海外で行うお金のやりとりのことをいいます。例えば、国内に住んでいる人が、海外の人や会社と取引してお金をやりとりすると、それは国際金融になります。

 

◆国際金融と国内金融との違いは?
国際金融が国内金融と異なるのは、次のような点です。

 

■外国為替取引をともなうこと
・ある国の企業と別の国の企業が国境を超えて取引する場合には、それぞれの企業は、自国の通貨と他国の通貨を交換する必要があります。このような通貨の交換が外国為替取引です。

 

■中央銀行がないこと
・国内金融のように監視し、必要に応じてコントロールする中央銀行がないことです。

 

・たとえお金が足りなくなっても、世界全体をコントロールするような中央銀行がないので、それぞれの国や地域で対応する方法しかないわけです。

 

■海外の経済情報の影響を受けること
・お金というのは、有利な投資先や、原材料費などの安い国や地域を求めて動きまわりますので、海外情報には非常に敏感に反応します。

 

◆国際金融の2つのお金の流れとは?
国際金融の2つのお金の流れというのは、次のようなものです。

 

■モノやサービスのお金の流れ
・モノやサービスのお金の流れというのは、モノやサービスの輸出や輸入にともなうお金の流れのことです。日本企業が自動車や電気製品を海外に輸出すると、海外から日本に必ず売上代金が入ってきます。

 

・反対に、日本の商社が石油を産出国から購入すると、日本から海外企業に支払代金を支払わなければなりません。つまり、輸出と輸入という貿易取引には、必ずお金の移動というものがともなうといえるのです。

 

・ちなみに、実物経済というのは、このような、モノやサービスを売って代金を受け取るような取引のことをいいます。

 

■投資などによるお金の流れ
・証券投資と直接投資による、マネー経済のことです。

 

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証券投資とは?

日本の投資家がアメリカの株を買うと、日本からアメリカにお金は移動します。反対に、アメリカの投資家が日本の株式に投資をすると、アメリカから日本にお金が移動します。

 

このような投資のことを証券投資といいます。ちなみに、証券とは、株式や投資信託、国債や地方債などの債券のことをいいます。

 

◆直接投資とは?
日本の精密機器メーカーが、ドイツに進出して新たに工場を建設すると、日本からドイツに建設代金が移動します。

 

また、フランスの自動車メーカーが、日本の自動車メーカーに資本参加すると、フランスから日本にお金が移動します。このような投資のことを直接投資といいます。

 

ちなみに、このように、モノは動かないのにお金だけが動くようなことをマネー経済といいます。

 

1970年代までは、国際金融といえば実物経済のことだったのですが、現在では国際金融取引の約90%ほどがマネー経済で占められています。

国際収支とは?

国際収支というのは、ある一定期間内での居住者と非居住者とのすべての経済取引を記録したものです。

 

わかりやすく言うと、外国とのお金のやり取りを、一定の規則に従って記録したもののことで、外国からのお金の受け取りと外国に対する支払をまとめた一国の家計簿のようなものということができます。

 

この国際収支には、一定期間の日本と外国との経済取引すべて(財・サービス・資金の流れ)が体系的に記録されていますので、これを見れば、どの部分が黒字でどの部分が赤字なのかが一目瞭然でわかります。

 

国際収支は、政府関係者が経済政策を考えるときや、資金運用担当者が金融市場の今後の動きを予測する際には、非常に重要な判断材料となります。

 

◆国際収支の項目は?
国際収支は、主に次の3つの項目に分けられます。

 

経常収支
⇒ 貿易・サービス収支
・貿易収支
・サービス収支
⇒ 所得収支
・雇用者報酬
・投資収益
⇒ 経常移転収支

 

資本収支
⇒ 投資収支
・直接投資
・証券投資
・その他の投資
⇒ その他の資本収支
・資本移転の受け払い
・その他の資産の取得処分の取引

 

外貨準備高増減

 

一般的には、経常収支が黒字なら資本収支は赤字となり、経常収支が赤字なら資本収支は黒字となることが多く、基本的に両者の関係は表裏一体といえます。

経常収支とは?

経常収支というのは、国際収支の中心ですが、次の3項目から構成されています。

 

■貿易収支・サービス収支 ■所得収支
■経常移転収支

 

なお、実物経済の収支というのも、この経常収支に経常されます。

 

◆経常黒字と経常赤字
経常黒字は、経常収支が黒字のことですが、これは、対外的なお金の出入りでいえば、収入の範囲内で生活しているということになります。

 

また、経常赤字は、経常収支が赤字のことですが、これは、出費が収入を上回る生活をしているということになります。

 

世界中の国々が他国と貿易を行っていますが、貿易というのは、財(モノ)の貿易とサービスの貿易の2種類です。

 

そして、国際収支統計では、財の貿易を貿易収支、サービスの貿易をサービス収支と分類されています。

 

◆貿易収支とは?
貿易収支というのは、財(モノ)の貿易でのお金の収支を記したものです。

 

自動車メーカーが自動車を輸出すれば、日本に外国からお金が入ってきますので、貿易収支上では収入としてプラスに計上されます。

 

反対に、牛肉、野菜、果物といった食料品を輸入すれば、お金が日本から外国へ出て行きますので、支出としてマイナスに計上されます。

 

つまり、貿易収支上は、輸出はプラスで輸入はマイナスということです。ちなみに、日本の貿易収支は、自動車などの輸出が多いので黒字が続いています。

 

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サービス収支とは?

サービス収支というのは、サービスにかかわるお金の収支を記したもので、サービスに関わる取引の差額が計上されます。また、サービス収支の中心となるのは、旅行です。

 

つまり、日本人が海外旅行をして宿泊や食事、買い物をするとサービス収支上の支出となり、外国の人々が日本に来てお金を使えばサービス収支上の収入となります。

 

ちなみに、海外旅行する日本人の方が、日本に来る外国の人々よりも多いことから、日本のサービス収支は赤字が続いています。

 

◆所得収支とは?
所得収支というのは、経常収支の柱の1つですが、外国から得た利子・配当や賃金などと、外国へ支払ったそれらなどの差額を指します。

 

なお、所得収支は、投資収益と雇用者報酬に分けられますが、投資収益が所得収支の約99%以上を占めています。

 

◆投資収益とは?
投資収益というのは、海外の子会社、支店の営業活動から得られる収益、株式や債券への投資から受け取る配当金・利子などのことで、次の3つに分類されます。

 

■直接投資収益
■証券投資収益
■その他投資収益

 

ただし、投資していた株や債券などの有価証券を売却して設けた利益は、資本収支に区分されますので、投資収益には計上されません。

 

◆日本の投資収益は?
日本の投資収益というのは黒字が続いていますが、これは日本が輸出で稼いだお金を海外に投資し、積み上げられた資産から得られる収入が増えたことを意味します。

 

これは、過去の蓄えからの収入が多くあるということですから、日本の国全体で見た場合には、かなりの資産家であるといえそうです。

 

◆投資収支とは?
投資収支というのは、居住者と非居住者との間で行われた金融資産・負債の取引を計上する項目のことで、次のように分類されます。

 

■直接投資
■証券投資
■その他投資

雇用者報酬とは?

雇用者報酬には、次の収支が計上されます。

 

■非居住者に対する報酬の支払い
■居住者が海外で稼いだ報酬の受け取り

 

例えば、外国人を船員として雇用している海運会社が、船員に支払う賃金というのは、国際収支上の雇用者報酬としてマイナス計上されます。

 

ただし、外国人であっても日本に住んでいる人(居住者)であれば、雇用者報酬には計上されません。

 

また、日本在住で外国の航空会社の乗務員として働いている人の場合は、その賃金は日本から見れば受け取りになりますので、国際収支上はプラス項目として計上されます。

 

◆インフレーションとは?
インフレーションというのは、ある程度継続的に物価水準が上昇し、相対的に貨幣価値が下落する状態のことをいいます。

 

インフレーションは、総需要が総供給を上回る場合、生産要素の価格上昇が起こる場合、あるいはこの2つの要素が相まって起こる場合があります。

 

◆経常移転収支とは?
経常移転収支というのは、資金援助や資金協力での収支を計上するものです。日本は経済大国としての責務を果たすために、多くの国や国際機関に対して、多額の資金援助や資金協力をしています。

 

こうした援助や寄付というのは、報酬や見返りを求めるものではありませんので、反対給付はありません。このような対価をともなわない援助や無償の資金協力が、経常移転収支として計上されることになります。

 

ちなみに、日本は援助や資金協力で大きく貢献していますので、経常移転収支は常に赤字になっています。

テロ対策等治安無償とは?

テロ対策等治安無償というのは、2006年に、テロや海賊対策への支援のための予算として新たに加えられたものです。

 

これは、1990年代後半より、マラッカ海峡を含む東南アジア海域での海賊による被害増加などが背景にあります。

 

多くの物資を海上輸送によってまかなう日本にとっては、海上交通の安全確保は必須といえます。このような支出は、経常移転収支のマイナス項目として計上されます。

 

◆日本への援助は?
阪神・淡路大震災のときには、日本に世界中から様々な援助が寄せられました。

 

この場合には、受けた援助というのは日本にお金が入ってきたということになりますので、経常移転収支のプラス項目として計上されます。

海外留学生への仕送りは?

親が海外留学生に、日本から学費や生活費を送金する場合は、一方的な給付としてお金が日本から出ていきますので、マイナスの移転収支として計上されます。

 

また、日本に居住している外国人が、お金を外国にいる家族や親戚に送金する場合も、日本から外国にお金が出ていきますので、国際収支上ではマイナス項目としての計上となります。

資本収支とは?

資本収支というのは、日本と外国とのお金そのもののやり取りの差額を表しますが、大きく投資収支とその他資本収支に大別されます。

 

外国に預金をする場合など、日本から外国にお金が出て行くと収支はマイナスになり、外国からお金を借りるなど、外国から日本にお金が入ってくると収支はプラスとして計算されます。

 

預金をするとマイナスで、お金を借りるとプラスというのは、少々わかりにくいかもしれませんが、お金の出入りとして考えるとわかりやすいです。

 

例えば、銀行に預金をしても自分の資産が減るわけではありませんが、自分の財布からお金が出ていきますので、手元の収支はマイナスになります。

 

反対に、銀行からお金を借りれば、負債は増えても現金が入ってきますので、手元の収支はプラスとして計算されます。

 

◆日本の資本収支は?
日本の資本収支全体でみると、2004年度以外は赤字になっています。

 

しかしながら、赤字といってもこれは決して悪い意味ではなく、日本から投資というかたちでお金が出ていることを意味しています。

 

つまり、日本は貿易黒字を続けていますが、貿易で稼いだお金が投資に回っているということです。

 

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